ペットの肥満について

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ペットの肥満について

ペットの肥満について

日々の診療を通して感じることですが、肥満の動物は性格が穏やかであり、飼主様から本当に愛されています。また同時に肥満動物の飼主様は、大変優しくて、自分の事以上に動物を大切にしています。しかし、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」、過保護が過ぎて、動物を肥満にし、ついには糖尿病などの「生活習慣病」に至り、取り返しのつかない状態になり、悲しい結果になった場面を何度も見てきました。こんな辛い出来事を少しでも改善出来れば、獣医師冥利に尽きると思い、今回のテーマにしました。
私が大学の獣医学科で生理学を学んでいるときの話ですが、何故、人、犬、猫には、血糖値を上げるホルモンは数種類あるのに、血糖値を下げるホルモンはインスリンひとつしかないのかという疑問があった。
生命は、厳しい環境を生き抜くために、幾つかの仕組みを備えて緊急時に対応出来るようにしている。それなのに、血糖値を下げるホルモンが、インスリンひとつしかないのは、本来、我々は、血糖値を下げる必要がない食生活だったのではないかという仮説があった。
それから20年数年後、私はその疑問を解決してくれる本と出会った。ご存知の方も多いのではないでしょうか、江部康二先生の『糖質制限』関連の本である。

人類誕生から700万年、穀物を食べるようになって2万年、そして精製された穀物を食べるようになってからわずか400年しか経っていないという事実。そう、現代人は今、人類誕生以降初めてと言っていい炭水化物(正確には糖質なので、以下糖質とする)過剰の嵐の中にいるわけです。人類誕生の歴史からみれば、我々人類の本来の食事は、タンパク質と脂肪が中心であり、糖質は木の実など少量であったのです。これは、必須アミノ酸や必須脂肪酸があるのに対して、必須糖質は存在しない事からも理解出来ます。(※脳の唯一の栄養はブドウ糖と言うのは、医学的に全くの間違いであります。)

体は、糖質を摂取すると血液中の血糖値が急上昇し、それに反応して膵臓からインスリンが分泌される。過剰に摂取した糖質は、別名「肥満ホルモン」と言われるインスリンの働きで脂肪に変えられ体に蓄えられる事が知られている。糖質の過剰摂取を長期間続けていると、肥満。(まさに現代人の体型)となり、ついには膵臓のインスリンが枯渇し、糖尿病になる。それでも糖質を摂取し続けると、体がこれ以上の食事を拒むかのように、眼、足、腎臓そして脳を蝕む糖尿病の合併症が発症し、生命の危機に直面する。

それでは、人類と一緒に生きることを選んだ犬と猫はどうでしょうか。犬や猫は、歯の形状や腸の短さなど解剖学的な特徴から、肉食動物である事に異論はない。(※肉食動物とは、肉(筋肉)ばかり食べているわけではなく、獲物の内臓や血そして腸内の消化されつつある草なども食べている。)つまり、我々人類より糖質制限の食生活が適合しているのです。因みに、犬はオオカミと同系統だが、偶然デンブンを分解する消化能力を身につけた種で雑食動物に分類されるようになっただけで、立派な肉食動物である。(※笹を食べるパンダも肉食動物であるクマの仲間であり、野生のパンダは小動物も食べます。)
木の実 つまり、穀物生産がされていない時代に誕生した犬や猫の本来の食生活も人類同様、いやそれ以上にタンパク質と脂肪が中心であり、木の実や果実(野生種は糖質が少ない)などから少量の糖質を摂取することはあっても、大量の糖質を摂取出来ない環境だったのである。
近年、人同様に、犬や猫の肥満や糖尿病が増加している。室内飼育に伴い運動量が格段に減ったことと、糖質を多く含んだフードやおやつ、人の食べ物(甘い果物など)中心の食生活への変化がそれらの原因として上げられる。
結論は、室内飼育で消費カロリーが少ない場合など、肉食動物の犬と猫に、糖質が多いフードやおやつなどを与え過ぎると肥満になり、遂には糖尿病になると言うことである。

増大する地球の人口を養う為には、穀物は非常に大切であります。また、ペットに関しても、ペットフードの誕生により多くのペットの寿命が延びました。また、フードの価格を適正に保つためには、フードに穀物を使用することに異論はありません。特に、運動量の多い動物、痩せ気味の動物、肥満でない動物には、一般的な市販のフードでよいと思います。

私が提案したいのは、「食事にこだわり動物本来の食生活を希望される飼主様」、「肥満犬や肥満傾向にある犬猫」、「糖尿病や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の犬猫やその好発犬猫」、「穀物アレルギーのある犬猫」などには、穀物を極力少なく、もしくは使用していないフードがありますので、それらを選択されれば良いのではないかと考えています。

最後に、身長175cmの私は、以前体重85kgの肥満体型でした。糖質制限を開始すると、特に運動なしに体重が減少し、現在71kgを維持しております。

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