諸外国と日本における、障害者に対する考え方の違い(水まわり編)

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諸外国と日本における、障害者に対する考え方の違い(水まわり編)

2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、様々な場所でバリアフリーに対する意識が高ま以前にもこのテーマで駐車場編を書かせて頂きましたが、今回はトイレや洗面室などの水まわりについて、僕が訪れた海外での事例を交えて説明していきます。

1.同じ空間で意識させない

日本国内では、大型ショッピングセンターや行政機関の施設、そして新規の建築物において、車いすのマークが表示されている多目的トイレ、多機能トイレなどの設置が増加してきています。これらは、一般のトイレとは別の場所に入り口が設けられており、障がい者等が利用しやすくなったという声があがる一方、「多目的」「多機能」というワードや設備が充実していることから、一般の方が利用し、必要としている人が使えないというケースも生じています。また、入り口が別であることから、健常者とは「分けられている」と感じ、障がい者であることを再認識させてしまうこともあるのです。

これに対し、海外のトイレの造り方の特徴として挙げられるのは「同じ空間」ということ。
一般のトイレには、入り口に車いすマークも表示されていて、中に入ると扉幅の広いトイレが一つ以上あり、手すりも設置されています。
これにより、健常者・障がい者・高齢者、誰もが同じ入り口、同じ空間で利用でき、お互いに過度な意識をせずに、譲り合いながら利用することができています。
また、トイレの入り口の扉は、ほとんど開き戸なのですが、ボタンを押して自動で開くようなシステムになっていたり、開放状態を保っている場合が多いです。

海外のトイレの造り方

そして、もう一つ特筆すべきは、洗面台です。画像からもわかるように、3つ並んだ洗面台の一つだけが膝入れのスペースを確保して、車いすのままでも利用できるようになっています。鏡の位置にも配慮してあり、デザインを壊さずに誰もが使いやすい環境を整えています。

2.「専用」ではなく「対応」

海外のホテル客室内バスルーム日本と海外のホテルでは、客室内バスルームの考え方も違います。日本ではバスタブが設置されていることがほとんどで、いかにも福祉用具という手すりだらけで、病院や施設のような雰囲気になってしまいがちです。
一方、海外のホテルでは、シャワーチェアの設置が基本となっており、無理にバスタブを設置するスペースを確保しないことで、客室内が広くなりますし、建築コストも下げることができるのです。

そして、「いかにも」という仕様にせずに、デザインに配慮がなされていることで、障がい者専用客室とせず、対応客室とすることで、稼働率を保つことができるのです。

3.法律+ハート=ダイバーシティ

日本ではバリアフリー法の他、来年4月に「障害者差別解消法」が施行されますが、諸外国からすると既に遅れをとっています。アメリカの場合、 ADA(Americans with Disabilities Act of 1990:障がいをもつアメリカ人法)という法律で、ハード面ソフト面の両面での差別を禁止してします。例えば、飲食店やホテルなど、不特定多数の人が利用する施設では、スロープやトイレの設置や盲導犬や介助犬などのほじょ犬の入場も拒否できないことになっており、これらを整備していないと営業許可がおりないこととなっています。
狭い国土の日本国内では、すべての店舗・施設に対して規制をかけていくのは難しいと思います。そういった意味でも「ハードのバリアをハートで解消する」というように、バリアフリーも新たなステージに向かっていかなければならない時代となってきました。
障がい者、健常者を区別することなく、誰もが様々な選択肢から自由に選べるような社会になることを願います。

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