部屋数を増やすことがゆたかさのあかしですか?

住まいの間取りを3LDKとか4LDKなどという言い方はよく知られていて、街の不動産屋さんの貼り紙や、新聞折り込みの広告などでよく見かけます。この表現方法は住宅公団のつくる住まいを通して広がり、ハウスメーカーなども使い出して一般的になったものです。
この3とか4とかという数字は寝室や子供室などの個室の数を表しています。LDKは、L:リビング、D:ダイニング、K:キッチンとそれぞれ独立した機能を持つ部屋ですが、間仕切りがなく部屋が連続している場合には、LD:リビングダイニングとか、DK:ダイニングキッチンなどと呼んだりもします。
3LDKとか4LDKといった表現は、間取りの構成や部屋数をいっているだけで、住まいの広さの情報はいっさい入っていません。ところが、3LDKと4LDKを比べてみると、部屋数の多いほうがなんとなく広い感じがするし、すまい方の可能性も広がるように感じます。本当は、面積の情報もあわせて比較してみなければわからないことなのですが。

たしかに部屋数がたくさん欲しい、多いほどよい、という人はたくさんいます。でも、4LDKだからといって3LDKよりも広い、という保証はどこにもありません。実際には、4LDKのほうが3LDKよりも狭い、という例もあるし、どちらも面積はほとんど同じという例もあります。
でも、住まい全体で確保できる面積には限りがあります。そんななかで、部屋数が欲しい、と増やしていったら、空間が細切れになってしまって、ひと部屋あたりの面積がどんどん狭くなり、使い勝手が悪くなったり、きゅうくつな感じの住まいになってしまいます。
これでは、部屋数が増えるのと引きかえに、だんだん豊かさから遠ざかることになりませんか。部屋の数を増やすことよりも、ひとつの部屋にゆったりとした広さを求め、使い勝手のよさを求めることが本当の豊かさを手に入れる近道ではないでしょうか。

「余裕」から生まれるゆたかさ

豊かさへの近道になるといっても、大邸宅ならいざしらず、どの部屋も十分な広さをとれるほど余裕があるわけではありません。
それでは、どうしたらよいか?となれば、それは、広くしたことで手に入る魅力が、もっとも効果的にあらわれてくる部屋、つまり居間(リビングルーム)を広くしてやることにつきます。それも広ければ広いほど魅力を増してくれます。
広くする部屋がなぜ居間なのか、というと、居間は住まいの中心的な存在となるスペースだからです。居間というスペースは、いつも家族の誰かが、なにかにつけて顔をみせて、なにがしかの時間を過ごしている、という、暮らしのなかでのプライベートな部分を受け入れてくれる中心であるとともに、ときにはお客様を迎えたりもする、住まいのなかでは外部とのつながりが濃い、パブリックな性格をもそなえた空間でもあります。
それに、居間というスペースは、家族の様々な要求を受け入れて、いろいろな使われ方をする多様性が求められるスペースでもあります。家族のライフスタイルが様々であるように、居間というスペースは、こうあるべきと決めつけることがむずかしい部屋でもあります。
個室や浴室、トイレなどの機能空間は、使われ方が比較的限られてくるので、その部屋の必要な機能に合わせてギリギリまで絞り込むことができます。それに比べて、居間の使われ方はあいまいな部分が多く、なかなか特定することができません。だからこそ、できるだけスペースをたっぷりとって、どんなことがあっても使い勝手に困らないという、「余裕」を手に入れることで豊かさも生まれてくる…。というわけです。