日本人にとっては、身近に「畳(じょう)」という部屋の広さを思い浮かべることができる「単位」があるので部屋の広さを畳数に、つまりタタミの枚数に置き換えて表す習慣があります。
例えば、実際に畳を敷いていないリビングルームや個室でも二十畳とか五・五畳などと表現します。それは、例えば「八畳」と聞けば、だれもがその空間の広さを想像できる共通の認識が、私たちの中にあることを前提にしているからできることなのです。

間取りの「間」とは居間や茶の間などというときの「間」のことですから、間取り図を描くということは、「部屋」の取り方をあれこれ考えて配置することです。今は、パソコンソフト等で、決められた枠のなかに部屋をはめ込むパズルのような、ゲーム感覚で間取りを考えるものもあります。
畳のサイズを思い浮かべながら、二畳の玄関はここに、十二畳のリビングはここ、六畳のキッチンはここ、八畳の寝室はここ、といったように部屋の単位を並び替えながら組み合わせを考えるのは、まるで[パズル]のようです。でも、この方法でできるのは、リビング(L)に、いくつ(n)の寝室(B)ができるか、という考え方のL+nB型の間取りのつくり方。
このL+nB型は戦後、アメリカのモダンリビングスタイルと呼ばれるもので、合理的でシンプルな形なので、誰にでもわかりやすく住宅の定番となり広く普及しました。ですが、今ではすっかりパターン化してしまって、どんな住み手がどんな生活をしたいか、という本来あるべき「におい」のようなものが間取りから消えてしまいました。

住宅の場合は、限られた厳しい条件のなかで、住み手が本当に欲しいものを求めてギリギリまで条件を絞り込んでつくられます。だから、出来上がった間取りは、他にはない、その住み手だけのとびっきりのオーダー品になるはずです。
この、ギリギリまでの条件を絞り込む作業を進めるためには、住み手が「この家で、こんな暮らし方をしたい」というイメージをしっかり固めてくれないとどうにもならないのですが。  プランニングとは、紙の上には平面図のような、落書きのようなものを書いているのですが、頭の中に描いているものは立体であり、断面であり、時には細かい部分だったりと、住み手の暮らし方を想像しながら住まいのかたちをまとめていく事です。
住み手が本当にほしいものを求めていくのだけれど、これがなかなか難解で、プランニングはまるで[謎解きのパズル]のようなものなのです。