東日本大震災の被災住宅を巡り思うこと

3月11日に起きた東日本大震災。このかつてない規模の災害は私たちの住む栃木県にも多大な被害を及ぼしました。調査のため、数多くの被災された住宅を見て行く中でこれからの家づくりのあるべき方向を私なりに考えています。
耐久性・耐震性が重要この震災を境に住まいに対する考え方は大きく変わっていくことが予想されます。今までの”豊かな暮らしを送るために” “ゆとりある暮らし”を求める家づくりに加え、より一層、耐震や安全性への関心が高まることでしょう。こういったニーズの変化の中で、当然ながら住んでいて安心できない耐久性のない、住まいは淘汰されていきます。今後、新築するにせよ、リフォームするにせよ、耐久性や安全性といった基本的条件を満たした良質な住宅こそが、これからの生活様式にも、時代の変化にも対応できるのです。
確かに良質な住宅は建設や維持管理に相応の投資が必要になりますが、世代を超えて利用して行くことにより、一世代あたりの住居費負担は軽減されることが期待できます。その分をより快適な暮らしに充てることが出来るでしょう。現在、住宅ローンを返し終わった時には住宅の資産価値がゼロになってしまっていると言われるほど資産価値が低く見られていますが、世代を超えて利用し続けることで、住宅が本来もつ価値に見合った評価が適正に行われるようになれば、資産としても捉えることも可能となり売ったり貸したりすることも容易に考えられるようになってきます。

現存する良質な住宅ストックは、ほんの少ししかありません。このような良質住宅ストック資産が、さらに有効に利用できる形で受け継がれ、質・量ともに充分に形成されれば状況は変わっていくでしょう。そして、住み替えなどを期待している住まい手とその住まい手にふさわしい住宅とをマッチングする仕組みが整えられれば、住まい手の選択肢は多様となり、ニーズを満たす住宅を選べるようになります。

これから建築する住宅を長持ちさせるためには、構造躯体そのものを丈夫(耐久性・耐震性)につくることに加えて、設備配管を躯体に埋め込まないことや点検口を確保するなど容易にメンテナンスができるように設計を工夫して置く事が重要になります。また、将来、次世代へ住み継いで行くことも考え、住宅がリフォームしやすくなっていることも大切です。住宅は短期間で取り壊されるような消費の対象になるべきものではありません。しっかり建て、きちんと維持管理し、長く持たせることのできる立派な資産なのだと社会全体の認識を変える必要があるのです。